株式会社RARECREW(旧社名 いきいきらいふ) 様
- 当社では、各メンバー膝をつき合わせた面談により目標設定や評価を決めています。評価制度を構築し、導入してから既に10年目を迎えます。当社特有の価値(バリュー)という評価軸をもつ特殊な人事評価制度をなぜ構築したのか、背景と概要についてご説明します。 (株式会社RARECREW 代表取締役 日下部 竜太 様)
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導入のきっかけは、若手メンバーの不安払拭
当社は会社の未来を創るために新卒採用を始めました。新卒を受け入れる覚悟と働きがいのある会社を創る想いに共感し会社の変革の為に多くの若手メンバーが参加してくれて、様々な取り組み導入にチャレンジ、社内が活性化されていきました。
それと同時に環境の変化・変革についてこられない古参メンバー、中途入職中堅メンバー達がポロポロと退職していきます。これは、企業の方針や戦略変更、改革を行うと発生するごく自然な現象だと思います。私自身も起こるであろう事象として想定していたため、そこまで大きな問題としては受け止めていませんでした。
しかしながら、介護の現場スタッフである彼らは、中堅メンバーの退職で一気に現場業務が大変になりました。企業ですので、売上や利益はしっかりと確保してビジネスしていかないといけません。会社の将来やビジョンの達成を除けば、日々の活動として現場を支えていたのはこの中堅メンバーであったのです。介護未経験、無資格で飛び込んできた新卒メンバーは思いややる気は高くても、圧倒的に現場業務のスキルが足りていませんでした。
「社長や日下部さんの想いに応えるつもりでやっているけど、このままでは、どうなっていくんだろう・・・」
「ちゃんと自分たちのことを考えてくれているのだろうか・・・」
「頑張った先に、何が待っているのだろう・・・」
「本当に信じてついて行って大丈夫なのか?」不安が、不満を呼び、些細なミスが不信感につながり、私たちとの直のコミュニケーションの薄いメンバーが時間経過と共に一人、二人と退職し始めたのです。
この事態に対して、彼らと会社の未来を創ると決めたのに、不安状態を解消できていないことに気が付き、きちんと公平な人事評価制度を導入することに決めました!
オリジナル人事評価制度構築へ
それまで(2011年頃)の当社の評価は、従業員数も少なかったこともありほとんどが社長の一存で決まる中小企業あるある状態でした。社長に対するアピールがうまいメンバーが優遇される状態が続いていました。私自身も直接社長と接点があるので、それでよしとしていたところがあることは否めません。
ただ、お恥ずかしい話ですが、現場で実績を出して社長とのコミュニケーションが良好な店長を、社員総会で表彰したあと、この店長の管轄メンバーから次々と退職意向が出てきたことがあります・・・。理由を聴くと「あんな人が表彰されて優遇される会社では働けません!!」この言葉はなかなかのインパクトでした。上司アピールは上手いものの現場のマネジメントは雑で、部下支持率が極めて低いことがあとで判明しました。
これらの経験や私が現場で動いて感じていたことを全て解決する人事評価制度が必要、そう思い、いろいろと構想を練ることにしました。
過去に何度か、人事評価制度の導入のトライアルをしたことがあったのですがしっくりこず、導入には至りませんでした。検討の際には他社で成功している人事評価制度をそのまま導入提案頂く機会が多かったのですが、介護スタッフの評価を行うにはマッチするイメージができなかった為です。
形だけの評価制度になんの意味があるのか・・・、そしてこの人事制度導入をコンサル会社に依頼すると、数百万の見積もりが上がってきます。営業時の提案ではいろいろな効果や成果があることの説明を受けますが、果たして本当か信じ切れず、最終的に自分で設計することにしたのです。
私の想いを形にしてくれたサポート企業
流石にゼロイチをやるわけにもいかず私の構想や設計から一緒に構築支援をしてくれる人を探しました。最終的にES向上を主軸に人事労務サポートに絶大なる実績と定評がある『有限会社人事・労務』さんにお願いすることにしました。
人事・労務の社会保険労務士 畑中先生とは、この人事評価制度構築がきっかけで当社の顧問もお願いして早10年。最新の人事労務情報から働き方、組織変革など毎月楽しいディスカッションをさせて頂いております。人の成長や価値を基軸に話ができる数少ないパートナーメンバーです。
因みに、最近は人事・労務社では地域でお米や野菜をつくり、カフェをオープンさせて販売するなどビジネスだけでない様々な人との社会的つながりの場を実践されている注目の会社です。
ポイントは価値的活動の評価
介護や福祉に関わる多くの方は、目の前の困っている人の助けになりたくてこの仕事を選びます。私も介護未経験で現場から始めたのでそのやりがいの高さは十分理解しています。そして、各サービス事業を立ち上げて人材採用、教育、マネジメントの中でもこのことを強く実感していきました。
一般的な人事評価制度には「業績」という売上や利益の結果を評価する軸、「能力」という個人の保有能力としての発揮スキルを評価する軸の2つで構成されています。
この2つの軸だけで介護従事者を評価すると、「利用者をたくさん集めろ、たくさん集めた人を評価する!」と言うメッセージになります。企業における人事評価とは、企業が大事にしているものが反映されますので考え方や方針が如実に表れます。先に記述した「あんな人が表彰されて優遇される会社では働けません!!」となるのです・・・。
ここにミスマッチが発生します。もちろん企業経営を考えるに「業績」はとても重要な指標です。蔑ろにできないのは言うまでもありません。しかし、目の前の困っている人を助けたい、この人に今は多くの時間を割きたい、この想いが本来《経営理念》の実現行動だと考えています。
そこで、「業績」「能力(行動)」に加え「価値(バリュー)」と言う第3の軸を評価に加えることにしました。それも、評価点数は「業績」と同じ配分点数です。価値は、業績とおなじくらい大事だと言うメッセージです。業績だけ一生懸命で、価値を蔑ろにする人は、半分の評価しかつかない設計にしました。
- お客様の自立支援に向けて
- お客様の想いを叶える取組
- みんなの手本となる現場改善
- 新しいサービスの導入
- 企業価値が高まる取組
など、経営理念に実現につながる活動をプロセス評価としたのです。結果は二の次。取組が周囲のメンバーに見える形で一生懸命行うと、高得点がとれる内容になっています。
何度も打合せを重ねた畑中先生からは「チャレンジな制度にしますね〜、他社では見たことないです。」と今後の展開に期待を頂きました。
さらに、バリュー評価については、半期ごとの活動を社内コンテストとして審査して優秀な取り組みを表彰し、事例として情報を共有する仕組みとして整備しました。毎年、普段は名前を聞かないメンバーが、目立ちみんなのお手本になるような取組をしていることが、テーブルに上がってくるので本当に面白いし、嬉しく感じています。
当社の人事評価制度では、誰が何をどのように行うと、どんな評価結果になるのかが一目瞭然わかる形となり、自身の次のキャリアステップや、強み、弱み、超えるべき課題などが明らかになっていきます。また、半期評価の間に中間面談を設けているので、3カ月毎に上司、部下でじっくり課題に向き合う時間が取れる為、結果に対して納得感があるものになっています。
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