日常の業務においてもさまざまなデジタルが取り入れられ、わたしたちの仕事のしかたは確実に変化してきました。
オンラインミーティング、オンライン採用、オンライン飲み会、等々、組織運営のためのコミュニケーション手段はデジタルツールによって多様化し、StayHOME、ソーシャルディスタンスと物理的な制約がかけられたこの数年の間で、できることが増え、省けることが明確になったとも言えます。
働きかたも暮らしかたもデジタルツールに頼る傾向が強まった一方、リアルなコミュニケーションで得られる身体感覚や認知・思考の深まりが低下し、疲れ・ひずみが生じるようにもなった今、かつて石器という道具を手にした人類が生き延び文化的にも幅を広げていったように、デジタルツールという新たな道具を手にした現代人のわたしたちも、その特性を理解し自分たちの能力を拡張しながら、他者との関係性のあり方や認知・思考の幅を柔軟に変化させてゆく必要があります。
サーベイフィードバックとは
サーベイフィードバックとは、組織運営において行われた調査によって得られたデータを組織のメンバーにフィードバックすることで、対話を促し組織の未来像を描いていく組織開発の手法です。1950年代から既に取り組まれており、組織づくり・人材育成両面で活用されてきました。
その目的は「組織をより良くすること」、組織変革です。
しかし誤解してはならないのが、「調査をするから組織が変わる」のではなく、「調査を踏まえた対話の習慣が根づくことで組織が変わっていく」という点です。
OD×DXの可能性
多くの日本企業においては、終身雇用・年功序列の日本型経営が成果主義へと変化してきた結果、人と人のつながり・コミュニケーションが低下してきている、という状況もあります。
また、コロナ禍で、「職場に居る意味」「組織に所属する意味」が問われるようになりました。
属している組織に対する貢献意識のことを「エンゲージメント」と言いますが、仕事=職場で働くこと、というこれまでの“当たり前”が物理的に崩れたこの時代において、エンゲージメントを高める意味もますます高まっていると言えます。
そういった状況の中、HRテクノロジー元年と言われる2018年を皮切りに、さまざまなデジタルツールが生まれ始め、世の中は大量の情報と共に目まぐるしく変化しています。
組織づくりにおいてデジタルを取り入れることで、さまざまなデータを吐き出し、定性的なものを定量的に捉えることがやりやすくなります。組織診断ツールやタレントマネジメントツールなどさまざまなクラウドツールも、そこから生まれたデータをいかに活用するか、という視点で導入することをおすすめします。そして、サーベイフィードバックという手法を用いて、データを活用していくことが重要です。
「ハピネス5」により五つの指標で組織の状態を見える化していく
サーベイフィードバックのメリット
なぜサーベイが現場を変えるのでしょうか?
立教大学の中原教授は3つの効果をもたらすと述べています。
- @コレクション効果・・・サーベイがメッセージになり組織にリマインドをもたらす
- Aフィードバック効果・・・現場に返されたデータが組織メンバーに解釈されそこでおこる「不一致」こそが組織を揺さぶる
- B外在化効果・・・サーベイがあることでメンバーが不満や提案を「言える化」する
特にBの外在化効果については、「自分ってこうだったんだ。」「私たちの職場ってこうだったんだ。」と客観的に新たな気づきを与えるとともに、“組織のこと=会社(リーダー)が考えること”から「自分ごと」「自分たちごと」へ変容するきっかけになります。
ここに、組織やそこにある個の状態を客観視して、変容を促せるという人事データ活用の意義があります。
ネットワーク分析で「人と人との関わりかた」を見える化する
ESの視点で「関係性(つながり)」という言葉を整理すると、”メンバー同士のつながりの状態””仕事そのものに対するこだわり・気概””商品サービスに関する誇り””組織のメンバーとしての貢献意識””地域社会とのつながり意識”という5つの要素があります。
これらの関係性を良くする働きかけが「組織開発」であるわけですが、中でも、”メンバー同士のつながりの状態”について、私たちは「ソシオグラム」というデータ分析を行ない、職場のコミュニケーションのあり方や意思決定のスピードを見ています。
すなわち、コミュニケーションの見える化、コミュニケーションの質とスピード(量)に関する科学的な分析です。
コミュニケーションは、個々の接点をつないだ関係性を情報(言語・非言語いずれも)が往来することによって生まれます。さまざまな開発が進むデジタルツールの力を借りることで抽象的・主観的なものを客観的に見える化し、それらの情報を踏まえ、何を感じ何を考えているのかを語るアナログの対話の場をつくる。このデジタルとアナログの両面をまわしていくことで、個々の自律的な行動を促すことができるのです。
ハピネス5を用いた組織の見える化
弊社では、ハピネス5というデジタルツールを使い「IRODORI会議」や「1on1ミーティング」といった対話の場を通して、個と組織の変容度合いを定点チェックしサーベイフィードバックに活かしていくご提案を行っています。
詳しくは、下記よりお問い合わせください。